真心クッキーズのブログ

10歳の女の子が本気でお店を開く道のり

第一話【失うという事…】

実は私真心の父は、

 

 

17歳の時事故で指をなくしてしまった。


母親一人子一人の父親も兄弟も居ない
頭も悪く学費も無い私は中卒で進学はせず
社会に出た。

 

 

 

やってきた仕事は

配管工・リフォーム営業・車屋
そして最終的な職業が
電子部品製造の派遣社員で無趣味

 

 

 

革細工には全く縁のない
生活をやってきた。

 

 

 

そして2009年

 

 

 

不況で派遣切り、いわゆるリストラで
人生が一変する。

 

 

 

 

配管工時代に人がすんなり入れるほどの
マンホールの直径ほどの配管に

利き手である右手を押しつぶされるように挟まれ
とっさに手を引いたけど

 

 

 

 


利き手の小指を失った。

 

 

 

 

 

たった小指一本がこの後の人生に

大きなマイナスを与えてくる。

 

 

 

 


まず小指が一本ないだけで生活ができないという事はない。

 


しかし握力が軽く女性に負けてしまうほど弱いものになってしまったため
力作業の仕事が不器用でままならない。

 

 

 

小指を失っているため勘違いされた部分も多々あり
面接にも、ことごとく受からず就活難

 

 

 

しかし、それでも生活費は毎月必ず必要な額がいる
嫁さんも子供もいる。

 

 

 


支えていかなくちゃ、守っていかなきゃいけないものがある。

 

 

 

 

 

 

それなのに、どん底生活の始まり。

 

 

 

 

そんな中で就活にも縁を担ぐように
自分で運命を切り開く【 願掛け 】のつもりで
名刺入れを自分で作ろうと考える。

 

 

 

 

その時に当時の数年も前に友達が
レザークラフトで財布を作っていたのを思い出した。

 

 

 

 


材料を揃えるため店などを教えてもらい
奇跡みたいに恵まれていることだが

 

 

 

その材料店が自宅から10分ほどの場所にあった。

 

 

 


後に、だんだんわかってくるのだが
レザークラフトの材料店は当時
ホームセンターや・通常の手芸店みたいに
あちらこちらのある訳ではない。

 

 

 


本当に恵まれていた。

 

 

 

 


もし近くになかったら諦めていたかもしれない。

 

 

 

しかし材料店を見つけても
今度は購入だが、工具やら素材やら
予想外に高く、ただでさえ
就職難の時にとても出せる費用ではなかった。

 

 

 

はっきり言ってナメていた。

 

 

 

しかし、それでこそ
運命を切り開くに値する試練ではないか、と
前向きに捉え自分の中で

 

 

 

 【 仕事に就くには 】

      ↓

 【 まず名刺入れ 】

      ↓

 【 願掛けが作用し就職に就く 】

      ↓

 【 生活が戻る 】 と、言う

 

 

他人が聞けば全くおかしな法則ができていた。

 

 

 

 

そして、その名刺入れを作るための
資金を作るため、ある行動にでる。

 

 

 

 

 

以前の営業経験と配管工時代の技術を
最大限に活かし今の私に出来ることを考え

 

 

 

前の作業服に着替えて自宅に少しあった
配管の材料や工具を持って

 

 

 

飛び込み営業したのだ。

 

 

 

住宅が並ぶ地域を軒並み歩き
雨樋が壊れている所などに

声をかけた。

 

 

 

 

 

雨樋(あまどい)
とは、屋根の脇に沿ってる配管で
雨水を下へ誘導してくれる配管の事

 

 

配管工の仕事とは異なるものだが
だいたいどうすればいいかは
経験から不安なくわかる

 

 

 


『僕に修理させてもらえませんか?』

 

 

 


もちろんそんなに簡単にどうぞ!
なんて言ってもらえる訳が無い。

 

不審がられて門前払いがほとんど

だが、諦めるわけにはいかない。

 

 

 

 

諦めたら


そこで『0』ゼロだ。

 

 

 

 

 


折れる心を何度もふるい立たせ

何度も次の日も、その次の日もトライし続けた。

 

 

 

 

普段、就職中には時間内
与えられた仕事をやってれば
何てことなく給料日にお金をもらえる。

 

 

 

だが、たった今
どんだけ頑張らろうが
結果がでなければ収入はゼロ

動いた労力など考えるとマイナスなくらいだ。

 

 

 

いったいどうすれば
お金を稼げる!?

 

 

 

私が言ってるのは大金稼ぐために
どうするって言ってるわけじゃない。

 

 

 

レザークラフト始めるための
資金、数千円のことを

どうしたら稼げる!?

と、言っている。

 

 

 

数千円はおろか

1円すら稼げない…

 

 

 

 

作業服を着たまま近くの公園のベンチに座り
考え込む。

 

 

 

 

よくドラマとかでも
落ち込んだり悩んでて考え込んだりする時に
定番のシーン。

 

 

 

いや、なぜかスゴく気持ちがわかる
吸い込まれるようにベンチが誘う
磁石みたいにお尻が引っ張られていく。

 

 

 

 

そして座り込んで考える。

空とか見上げる。

 

 

 

 

 

 

どうすればいいだろう?

どうしたらお金って稼げるんだ?

 

 

 

 


それしか頭に出てこない
他に考えが展開しない

 

 

 


どれくらいの時間座っていたか
わからない。

 

 

 

 

 

が、

 

こうやってても結局ゼロだ。

 

 

 

そう思い、再び軒並み歩く。

 

 

 

 

しばらくまた雨樋の壊れてる家を
探しながら歩いていたら

 

 

 

今まで雨樋しか見ていなかったから
気づかなかったけど

 

 

 

腰が曲がって辛そうなおじいさんが
庭の草むしりをしている

 

 

『今日も暑いですね!』
声をかけると

 

 

『そうだねぇ 今年も暑いねぇ』
と、世間話が展開していき

 


おじいさんは一人暮らしで
腰も悪くて年々草むしりがキツイと言う事がわかった。

 

 

もう、やることは一つ

 

 

『草むしり、僕が手伝ってあげるよ!』

 

 

『いやぁ、悪いよ仕事中なんだろう?』

 

 

『うーん、仕事中というか
仕事がないと言うか…

だから、煙草代でいいよ!
それで僕に仕事ください!』

 

 

って言ったら

 

 

『いいのかい?本当にやってくれるのかい?』

 

『僕の方こそ本当にやっていい?』

 

『そりゃあ、助かるよ 歳だし
腰もこんなだしお願いするよ!』

 

 

『了解です!頑張らさせていただきます!』

 

 

職務:草むしり 収入:タバコ代
契約成立の瞬間。

 

 

 

雨樋の修理を目指していたのに
何故か、まさかの草むしりで収入が生まれる。

 

 

 

8月の真夏の炎天下の中、草むしりを終えると
麦茶と、あの袋詰めのピンクのかき氷をもらった。

 

 

 

 

そして、世間話をしながら
草むしりは綺麗に終わってるけど違和感

 


木だ。

 


木の葉っぱもモサモサなんだ。

 

 

おじいさん、まずあんな高い所無理だろう。

 

 

もともと、雨樋の修理目的のため出てた私。
はしごはある。

 

 

 

 

 

やってやろうじゃないの!

 

 

 

 

どこに草むしりと剪定をタバコ代でする業者がいるだろう?

 

 

 

しかし、そんなことは
どうでもいい

人対人とはもっと違うものがある。

 

 

 

 

お金の損得だけが全てじゃない。

 


これでそのレザークラフトの資金が稼ぎきれなくても
1ミリの後悔もない。

 

 

また次、頑張ればいい。

 

 

 

たった今おじいさんの為になることは
あの葉っぱのモサモサを刈り上げる事

 

 

 

決意は固まった。

 

 

 

 

剪定開始

やったこともない剪定で
実に草むしりの倍の時間がかかり

夕方に終了。

 

 

 

 

おじいさんからタバコ代を受け取った。

 

 

 

 

『あれ、これ、めちゃくちゃ多いよ?』

 

『いいんだよ。本当に助かったから』

 

『でも、ほら僕タバコ代でいいって
最初に言ったし。剪定だって
そんなつもりじゃなくて気持ちでやったんだよ?』

 

『だから、私からの気持ちがこれだよ。
これじゃ足りないくらいだよ。
本当にありがとうね 助かったよ。』

 

 

歩き回って折れそうな心と
人のあたたかさに触れ嬉しい気持ちと
交差点で事故ったようなグチャグチャな
色んな想いの涙が交じる

一万円だった。

 

 

 

こんな価値のある一万円は稼いだことがない。

 

 

 

ありがとう おじいさん

 

 


努力は必ず報われる
その瞬間だった。

 

 

 

 

そして、やっと名刺入れを作るための
レザークラフト資金を掴んだ。

 

 

 

これが真心の父の

レザークラフトの始まりである。

 

 

>>第二話【もう一度…】に続く